江戸時代・元禄2年(1689)。『おくのほそ道』の旅の途中、松尾芭蕉は梅雨で増水した最上川を舟で下りました。はじめ「五月雨をあつめて涼し」と詠んだ挨拶句を、のちに「早し」へ磨き上げたと伝わります。
降り続く五月雨をすべて集めて、大河は恐ろしいほどの速さで流れてゆく——憂鬱の象徴だった長雨を、一句のうちに疾走するエネルギーへ反転させました。言葉の力そのもののような句です。
歌詞は「止まない雨」に沈む日々を、原句の反転力で走らせました。予定も気分も流されていくなら、いっそこの速さに乗ってしまえばいい。あふれた想いを隠さず集めて、行き先も知らず走り出す——梅雨明けのような疾走感の歌です。
ぽつり ぽつり 窓を打つ音
止まない雨の中で 息をする
五月雨が 降り続いた 何日も
予定も気分も 流されてくみたいだ
誰かの声も どこかの正解も
全部まとめて この濁りに 飲み込まれてく
止まらないなら いっそ乗ってしまえばいい
怖いくらいの この速さに
あふれた想い 隠さなくていい
集めて 集めて あふれて 走り出す
迷ってる暇もないくらい 流れていけ
行き先も知らず 流されていく
板子一枚 その下で 渦まく水
白い飛沫が 頬を濡らす
岸の杉が 矢じりみたいに 後ろへ走る
濡れた笠が だんだん 重くなる
舟べりに しがみつく指
誰の手か もう わからない
止められないなら それも才能だろ
この濁りも いつか海になる
あふれた想い 隠さなくていい
集めて 集めて あふれて 走り出す
答えはきっと 流れた先にある
行き先も知らず 流されていく
にじむ景色 雨粒の向こうで
自分が今 どこに いるのかも 曖昧で
でも川は知ってる 行き先なんて聞かない
ただ低いほうへ ためらわず 落ちていく
涼しいなんて 言ってられない速さで
旅の途中 立ち止まれない 僕ら
雨よ降れ もっと降れ 全部集めて
怖さも期待も 一緒くたに 連れていけ
五月雨を 集めて早し 最上川
あふれた想い 隠さなくていい
集めて 集めて あふれて 走り出す
迷ってる暇もないくらい 流れていけ
行き先も知らず 流されていく
止まない雨の その先へ
五月雨を 集めて早し……
最上川……
ぽつり ぽつり……