Garu JP百人一首 / 田子の浦
小倉百人一首 第四番

田子の浦

山部赤人出典:『新古今集』冬・675
田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ

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歌のものがたり

Story

時代背景

奈良時代。山部赤人は天皇の行幸に随行した宮廷歌人で、のちに紀貫之が柿本人麻呂と並ぶ「歌聖」と讃えた叙景の名手である。この歌は行幸の旅の途中、田子の浦の浜で富士に出会って詠まれた。

作者の詩に込めた想い

赤人はこの歌で「美しい」「感動した」という言葉を一語も使っていない。浜に出た、見た、白い、雪が降り続いている——事実と風景だけを並べて、読む者の胸に息をのむ驚きと畏敬を再現してみせた。感情を書かずに感情を伝える、三十一文字の完成形である。

歌詞にこめたもの

歌詞はその手法へのリスペクトで書かれている。現代の主人公は、行き先も見ずに夜行バスに飛び乗った旅の途中で同じ富士に出会う。感情はすべて行動と風景に語らせ、悲しいとも美しいとも一度も言わない。旅の理由が変わっても、言葉を失って立ち尽くすことだけが千年変わらない。

歌詞

Lyrics

田子の浦(山部赤人・百人一首4番)/ Garu JP

Verse 1

言い過ぎたまま ドアを閉めて

行き先も見ずに 夜行バスへ

鳴り止まない通知を ポケットに沈め

いちばん後ろの 席に沈む

Build-Up

カーテンの隙間 差す光に目覚め

富士川の休憩所で バスを降りた

冷たい空気を 深く吸い込んで

展望デッキへ 駆け上がる——

Chorus

田子の浦に うち出でて見れば

白妙の 富士の高嶺

視界いっぱいの 白い頂が

朝日を浴びて 燃えている

「こんなに世界は 広かったんだ」

雪は降りつつ 降りつつ

Verse 2

海から空まで ひと筆書きの

稜線を朝の 光がなぞる

時代が絵筆を 何度替えても

この一筆は 誰も消せない

Build-Up 2

肩から力が こぼれ落ちて

握っていた手が そっとひらく

風が背中を 押した——

Chorus 2

田子の浦に うち出でて見れば

白妙の 富士の高嶺

言い合った夜も 黙った朝も

変わらず雪を かぶったまま

何も言わずに ただそこにいる

雪は降りつつ 降りつつ

Bridge

遠い日の旅人も この地に立って

同じ白さに 息をのんだ

のんだ息が ほどけて 歌になる

波の向こうから 聞こえてくる——

Breakdown

田子の浦に うち出でて見れば 白妙の

富士の高嶺に 雪は降りつつ

Final Chorus

謝る言葉は 決めてないけど

帰る場所なら 決まっている

写真は一枚 撮っただけ

あとは全部 目に焼き付けた

帰りのバスの 窓の向こう

雪は降りつつ 降りつつ

Outro

雪は降りつつ……

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