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百人一首 第66番・大僧正行尊もろともに

大僧正行尊出典:『金葉集』雑上・521
もろともに あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし
百人一首『金葉集』雑春寂しさ山中の桜(大峰山)
もろともに ジャケット▶

現代語訳

私がお前を懐かしく思うように、お前も私を懐かしんでおくれ、山桜よ。花のお前のほかに、私の心を知る友はいないのだから。

決まり字:もろ

ミュージックビデオ

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歌のものがたり

Story

時代背景

大僧正行尊(1055〜1135)は平安時代後期の僧で、三条天皇の曾孫にあたる。十二歳で出家して園城寺(三井寺)に入り、若いころから大峰山や熊野などの険しい山々をめぐる修験の修行を重ねた。のちに天台座主・大僧正にまで昇り、加持祈祷の力でも知られた。この歌は『金葉和歌集』雑上に入り、詞書には「大峰にて思ひもかけず桜の花の咲きたりけるを見てよめる」とある。人が入らない修行の山奥で、思いがけず咲いている山桜に出会ったときの歌。

詠み人の想い

「もろともに」は、おたがいに、いっしょに。「あはれと思へ」は、しみじみと愛おしく思ってくれ。私がおまえを愛おしく思うように、おまえも私を思ってくれ、と山桜に呼びかけている。「花よりほかに知る人もなし」は、この山奥では、おまえのほかに私を知る者はいない、という意味。誰にも見られずに咲く桜と、誰にも知られずに修行する自分。ひとりきりの者どうしが、深い山の中でふと出会い、心を通わせようとしている。

歌詞にこめたもの

この歌に惹かれたのは、厳しい修行の途中で、行尊が人ではなく一本の桜に話しかけたところでした。返事をしない相手に「いっしょに」と呼びかけるのは、それだけ深くひとりだったからだと思います。でも、誰にも見られずに咲いていた桜の側から見れば、行尊もまた、はじめて自分に気づいてくれた人でした。歌詞では、その出会いを今の霧の山道に重ねました。ひとりと、ひとつ。孤独な者どうしが出会うと、「知る人もなし」は、もう寂しいだけの言葉ではなくなる。霧が晴れて見えなかったものが見えてくるように、ひとりきりだと思っていた心がほどけていく瞬間を、神秘的で静かな高まりとして歌いました。

歌詞

Lyrics

もろともに(金葉集/大僧正行尊・百人一首66番)Garu JP

Verse 1

霧の奥の 名前のない 道をゆく

熊よけの 鈴の音が 先をゆく

振り返れば 来た道も 白く 埋もれる

誰も知らない 山を ひとり のぼる

Pre-Chorus

声を出せば 霧が 吸いこんでいく

その奥に ほのかな 灯りが ひとつ

Chorus

もろともに あはれと思へ 山桜

花よりほかに 知る人もなし

咲いていたのか こんなところで

誰に 見せるでもなく

もろともに もろともに

ひとりと ひとつ

Verse 2

はるか昔 岩を踏み 滝に打たれた 僧がいた

険しい峰の その途中で

ひとひらの 薄紅に 足を 止めた

はじめて 誰かに 話しかけた

Pre-Chorus

返事はない それでも 揺れていた

うなずくように 枝の先が

Chorus

もろともに あはれと思へ 山桜

花よりほかに 知る人もなし

泣いたことも 笑ったことも

知っているのは 君だけ

もろともに もろともに

ここにいる

Bridge

風が止む

霧が晴れる

谷いっぱいに

花びらが 降る

Last Chorus

もろともに あはれと思へ 山桜

花よりほかに 知る人もなし

ひとりきりだと 思ってた

見えなかった だけだった

もろともに もろともに

ひとりと ひとつ

Outro

山桜 知る人もなし

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